志水
みなさんこんにちは。志水です。
整形外科クリニックで勤務している理学療法士です。
運動器エコー歴は5年で年間100件以上のエコー評価
指導人数は50人以上で
今は「運動器リハにエコーは必須❗」
と、SNSでエコーの良さを発信しています。
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Instagram→(shimizu_log)
今回はSLAP損傷についてのお話なんですが…
タイトルにもあるとおり
SLAPの鑑別って難しいんです^^;

そこでいきなりですが

質問を最初にさせてください。

 

 

みなさんはSLAP損傷の
対象者をみることってありますか?

 

"SLAP損傷"と聞くと
僕はスローイングスポーツ(投球競技)
を想像しますがみなさんはいかがですか?

セラピスト
えっ?そもそも…
うちは肩関節周囲炎しか来ないよ?
と、思った人も多いのではないでしょうか?
実際
「SLAP損傷」や「上方関節唇損傷」を
「J-stage」や「メディカルオンライン」で
検索すると「野球・投球」といった
ワードが上位にくることが多いと思います。
僕が所属しているクリックでは
スポーツ選手はあまり来ないため、
SLAP損傷のリハビリを
経験することは少ないです。
そう。
「少ない」です。
少ない
ということは、
担当することは"ある"んです。
これを読んでいるアナタも
肩関節疾患の対象者を担当していますよね
肩関節周囲炎という診断だけど
「ちょっと違うな?」と思ったことはありませんか?
その人は
SLAP損傷(関節唇損傷)かもしれません
もしかして
周囲炎と同じような介入をしていても
改善しないかもしれません

そして
僕が稀に担当する患者さんは
"スポーツをしていない"人ばかりです。
(なのでスポーツ選手に対する介入は違う人の
記事で勉強してください)

 

「スポーツをやっていなくてもSLAPが生じるの?」と思う方も
いるかもしれませんが…
例えばこんな状況で受傷した人を経験します

"鉄棒にぶら下がる"
"犬に引っ張られる"

こういった急激な牽引ストレス+捻じれストレス

というメカニカルストレスが
原因で発症することはあります。
(多いかはちょっとわかりません。)
そして
このSLAP損傷に関する確定診断関節鏡視で行うことが
ゴールドスタンダードとされていますが、
実は…
実際に関節内を鏡視下で観察していても術者によってが
損傷しているかどうかの判断ができない(異なる)そうです1)

特にSLAP損傷にはタイプ分類があるのですが
Type3とType4の判断は特に難しいようです。

そうなると、MRIやCTなどの画像診断や
徒手検査といった身体外部から判断するような
ものの精度は低くても仕方ないような気がしますね。
では
SLAP損傷の徒手検査って何があるでしょうか?
きっと、この
O'brien testは有名ではないでしょうか?(YouTubeから抜粋↓)

今回はこういった徒手検査をいくつか紹介しつつ
僕自身の数少ない経験の中から得られたことをについて
お話したいと思います。

SLAP損傷(病変)に対する徒手検査の種類

いろいろ調べるてみると
このような徒手検査法があります。

 

  • Avtive Compression Test(O'Brien's test)
  • Relocation Test
  • Speed Test
  • Compression rotation Test
  • Anterior slide Test
  • Crank test
  • Biceps load testⅡ

などなど2.3)

 

今回の記事では

・Active Compression Test
・Anterior slide Test

 

が動画付きで登場しますので
それ以外の方法が知りたい方は
YouTubeで検索してみてくださいね。

 

そして今回の本題ですが…
問題はこれらのテストにおける"精度"です

各テストにおける精度の報告に
バラツキが多すぎて、
正直僕にはどう判断していいのか

わかりません^^;

 

志水
なんか良い論文ないかな〜?
と悩んでいた時に、「これ良いのかな?」
と思える論文がありましたので、
それをベースにお話したいと思います。
(これはいまいちだな。っというご意見がありましたら
ぜひご指摘をいただきたいです!)

 

論文はこちら↓

Schlechter, J. A., Summa, S., & Rubin, B. D. (2009). The Passive Distraction Test: A New Diagnostic Aid for Clinically Significant Superior Labral Pathology. Arthroscopy, 25(12), 1374–1379. https://doi.org/10.1016/j.arthro.2009.04.070

 

この論文では,先程述べたように

「SLAP損傷の徒手検査法における精度の報告には
大きなバラツキがある」

ということを問題提起として

以下の2つを調査・比較することを目的としたそうです

研究の目的

  • Passive Distraction Test(PDT)単独での精度
  • PDT+以前に報告のあったその他のテストと掛け合わせた際の精度

※筆者らはPDT が最も精度が高い検査法だと考えて、採用しています。

    方法と結果

    志水
    今回の研究で使った整形テストはこちら

    ⭕Passive Distraction Test

    ⭕O'brien test (Active Compression Test)←先程紹介しました

    ⭕Anterior Slide Test


    この3つの検査法を用いて精度を調査しています。

    今回の論文ではこれらの検査法のなかでも
    Passive distraction Testに着目していますので
    こちらの方法について説明します

    PDTの方法
    1. 肩関節、前腕回外位,肘関節伸展位(軽度屈曲位?)にて前額面150°まで挙上(要は外転)
    2. そのまま肩関節は回旋が入らないようにし、前腕を回内、肘関節を伸展位へと走査
    3. この際に肩関節の前方や後方の深部に疼痛が出現したら陽性とする

      結果ですが…

      PDT
      (passive distraction test)

      ACT
      (active compression test)
      AST
      (anterior slide test)
      PDT and ACT
      PPV(陽性適中率)% 72 69 71 67
      NPV(陰性適中率)% 87 88 82 91
      Sensitiy(感度)% 53 59 21 70
      Specificity(特異度)% 94 92 98 90

      こんな感じだそうです。

      この結果から
      PDTとACTは全ての結果で有意差が認められませんでした
      つまり、両検査の精度に差がないと考えられます。

      PDTとASTでは感度において有意差を認める結果となりました。

      そこでPDTとASTを併用した結果に目を向けてみると
      感度が数値が上昇しています。

      感度の違い
      ADT=53%
      ACT=59%
      ADT+ACT=70%

      それ以外の数値に大きな変化はありませんが
      感度の数値が上昇したことで
      より精度の高い結果へとなったと考えます。
      (陽性適中率・陰性適中率・感度・特異度
      すべてが高い数値となっています)

       

      ですので、今回の研究結果から
      SLAP損傷の検査法としては
      ADT+ACTの併用を採用することも
      選択の一つになるのではないかと思います。

       

      ただ、この研究では最初
      研究対象は254肩だったのですが、
      除外をしていくについてれ
      数が減っていき最後には
      20肩しかいませんでした。

       

      ですので、単純にn数が少ないことは
      今回の研究での解釈を鵜呑みにするべき
      ではない一要因かと思います。

      まとめ

      今回の論文は2009年のものでしたので
      それから10年程度経過し、より精度の高い
      徒手検査も報告されているかもしれません。

       

      また、新しくて
      良さそうな論文があったら
      追記するか別記事に書こうと思います。

       

      ただ今回の記事を書く際に
      僕が思ったことは…

      SLAP損傷の鑑別はとても難易度が高く
      関節鏡視下においても医師が判断することに
      迷う。

       

      当然
      僕たちセラピストは
      診断することが仕事ではなく

       

      対象者にいろいろな視点で介入し
      改善する方向へと手助けをすることを
      仕事だと思っています。

       

      病態を明らかにすることでわかることもあります。
      が、しっかりと対象者一人ひとりをみて

       

      根拠のある介入をしつつ
      対象者と向き合って得られた
      経験を合わせて
      一歩一歩進んでいくことが
      大切だと「今」は思います。

       

       

      参考文献

      1)Gobezie, R., Zurakowski, D., Lavery, K., Millett, P. J., Cole, B. J., & Wamer, J. J. P. (2008). Analysis of Interobserver and Intraobserver Variability in the Diagnosis and Treatment of SLAP Tears Using the Snyder Classification. The American Journal of Sports Medicine, 36(7), 1373–1379. 

      2)Schlechter, J. A., Summa, S., & Rubin, B. D. (2009). The Passive Distraction Test: A New Diagnostic Aid for Clinically Significant Superior Labral Pathology. Arthroscopy, 25(12), 1374–1379.

      3)Kibler, W. Ben, & Sciascia, A. (2015). Current Practice for the Diagnosis of a SLAP Lesion: Systematic Review and Physician Survey. Arthroscopy, 31(12), 2456–2469.

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